あき部屋

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小説

われ何を知るや

「やあ、よろしく」と男は右手を差し出してきた。 何だこいつは、と私は思った。日本人のくせに握手だと? 日本人なら「どうもどうも」と言いながら、ペコペコお辞儀をするのが由緒正しき作法だろうが。 だが、仕方がない。差し出された手を無視するほど、私…

汗をかく男

今日は、暑かった。また、夏がくる。汗の季節がやってくる。あの日も、今日のように暑い日だった。何年も前の出来事が、まるで昨日のように思い出される。 「うわっ」と声がした。 歩きながら、頭の中で次の打ち合わせのシミュレーションをしていた私は、思…